Before (改善前)

高精度な孔加工を行う場合は、小径工具を用いて加工を行います。しかし、深孔の加工を小径工具を用いて行う場合、品質面・コスト面で問題が生じてしまいます。例えば、t=10、X=3H7の長孔加工を行う場合、公差が厳しいためφ3以下の小径工具を使用して加工を行いますが、工具の径の3倍以上の深さを加工するため刃物逃げによる孔の倒れの原因となります。また、小径工具のため、切削時間が伸びてしまいコストアップにつながります。

V

After (改善後)

長孔部分の形状を変更することで、品質向上・コストダウンを図ることができます。製品の仕様上で影響が出ない場合には、長孔の周囲にザクリ形状を盛り込むように形状を変更します。これによりザグリ形状の部分はφ3よりも太い工具を用いた加工ができます。そのため、φ3以下の小径工具を用いる長孔の深さが刃物径の3倍以内となり孔の倒れを軽減することができます。また、小径工具を用いる箇所が減るため、加工時間も短縮できコストダウンにつながります。

POINT(要約)

精度が厳しく小径工具を用いる必要のある孔加工は、孔が深くなればなるほどコストが上がってしまいますし孔精度も下がってしまいます。長孔によらず、小径工具を用いた深孔加工を行う際は、仕様に影響がない範囲で小径工具を使用する箇所を減らすように形状変更することで、孔精度の向上や加工時間短縮によるコストダウンが可能です。